2018年大河ドラマ『西郷どん(せごどん)林真理子さん原作のあらすじを【】、【】、【】3部に分け、簡単にまとめてあります。

 

 

※ NHK大河ドラマ『西郷どん』の1話~50話までのあらすじ(ネタバレ)は、こちら!

大河ドラマ【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)1話~最終回まで!

 

【西郷どん】再放送は?更に再放送も見逃した場合は・・・?!

 

スポンサーリンク

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

【八】

 

安政四年(一八五七)十一月、薩摩街道の水俣を、吉之助と大久保正助は歩いている。

小雪がちらついているが、吉之助の身なりは相変わらず貧しく、いつものくたびれた上着と袴だ。

 

帰藩するなり、家の借金の苦労がいっきに押し寄せてきている。

しかし正助の方は、更にみすぼらしい。

 

お由羅騒動によって、鬼界島に流されていた正助の父は、二年前に戻ってきたものの、別人の様にやつれ果てていた。

 

吉之助と正助は、肥後に向かっていた。

その道中、吉之助は、斉彬を自分と一緒にお助けしてもらわれんか?と正助に頼んでいた。

 

そげん言ってもなぁ。

 

と、正助はまだ斉彬の事を詳しく理解はしていなかった。

 

正どん、もうじきお城が見えるはずじゃ。肥後熊本は見事な城ごわす。

 

しかし、熊本から引き返す正助に話せない事がいくつもあった。

例えば自分が何の為に旅に出ているかという事だ。

 

工藤左門(井上経徳)、北条右門(木村時澄)を訪ねるとは伝えていた。

二人は、お由羅騒動の際、脱走して黒田斉溥に斉彬の窮状訴えた者達だ。

 

しかし、重要な目的は一橋慶喜を次の将軍にする為の工作だ。

 

越前の松平慶永(春嶽)、土佐の山内豊信(容堂)、宇和島の伊達宗城、水戸の徳川斉昭らと、自分とで同盟を作り、幕府を動かしていこうと斉彬は考えている。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

やがて、西洋各国の圧力は抵抗出来ぬところまで来るだろう。

その時は有能な大名が必要だ。そのために慶喜が将軍にならなければ、全ての計画が滞ってしまうのである。

 

下関から船に乗った吉之助は、十二月六日に江戸に着いた。

それから霊岸島にある越前藩邸へ、橋本左内に会う為に足を運んだ。

 

橋本左内は、吉之助よりも七歳下の二十四歳である。

藩主の松平慶永が、他の誰よりも認めたという有能な青年である。

 

斉彬から預かっている親書をふくさから取り出し、左内に手渡す。

この手紙は、左内から慶永の元に届けられるはずだ。

 

吉之助は橋本左内と、斉彬、一橋慶喜について語った。

その中で吉之助は、今まで誰にもしたことがない質問を、左内に発した。

 

一橋様は、本当にすぐれたお方でございもんそか。我々が命運を賭けてまで、擁立申し上げるべきお方でございもんそか。

 

一瞬、相手は不思議な表情をした。

 

実は今、私は太守様の命で一橋様について行状を書いております。あの方の今までのご発言、なさった事について、私なりにまとめております。それをいずれ、西郷殿、薩摩守様にもお目通し願いたいと思います。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

それからすぐに左内は、行状記を持ち、吉之助を訪ねてくれた。

吉之助は、これを五通書き写した。

 

その一通を持ち、籠城の小ノ島のところへ行ったのは、年があらたまってすぐの事である。

小ノ島は大奥へ行き、篤姫付き、御年寄幾島のご機嫌伺いをしてきたばかりだという。

 

上様と御台所(篤姫)様は、大層仲睦まじくあらせられ、お渡りもこの頃は頻繁との事でございます。

 

そいは何よりでございもす。

 

篤姫が入興する直前、斉彬は一橋慶喜擁立の意思を告げ、協力してくれるよう頭を下げた。

その際は、父上の為なら何でもすると誓った篤姫であるが、それほど簡単にはいかなかった様である。

 

それは、将軍・家定自身が慶喜を嫌っているのだ。

水戸嫌いの生母の影響であろう。

 

篤姫は次第に、夫と実家の板挟みに陥っているという。

そうして小ノ島は、吉之助に懇願する。

 

上様と篤姫様との間には、いずれお子が出来ましょう。どうか、篤姫様をこれ以上困らせないで欲しいのです。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

そいは、大変に喜ばしかこっですが、例え世子がご誕生になられても、元服あそばすのはまだ先の事ではあいもはんか。今のうちにしっかりとした年長のお世継ぎを決めておかねば、諸藩も一つにまとまりもはん。

 

安政五年三月、吉之助は京に向かった。

越前藩の家老・中根雪江から預かった、水戸の老公から姉の夫である太閤(前関白)鷹司政道(たかつかさ まさみち)への書状と、篤姫から義父・左大臣近衛忠熙(このえ ただひろ)に宛てた二通を吉之助は持っていた。

 

どちらも、慶喜を時期将軍に推薦して欲しいという内容だ。

 

慌ただしい旅であった。

五月十七日に江戸を発って、六月七日に薩摩に到着した。

 

斉彬は不機嫌さを隠そうとしなかった。

それは江戸から送った書状で、吉之助は正直な事を書いていた。

 

四月二十三日に井伊直弼が大老に就任した。

彼は、一橋慶喜に対抗する南紀派の首領のような男である。

 

譜代筆頭の彦根藩主であり、外様の雄藩が幕政に参画する事を苦々しく思っている。

これで慶喜が将軍に就く事は、非情に難しくなったと吉之助は綴ったのである。

 

そして、今それを書いた吉之助の前で斉彬は言った。

 

これは幾島からの知らせだが、井伊殿の大老就任については、上様のご意向があったと聞く。

 

しかし、その様な事を篤姫様を御台所に持つお方がなされるとは思えもはん。

 

わしもそう思いたいが、井伊殿の突然のご大役は、そうとしか考えられん。全く、阿部殿がご健在であられたら・・・

 

斉彬の盟友であった阿部正弘は、去年急死していたのである。

 

阿部殿の死因については、色々言われているが、毒を盛られた、という声も多い。このわしも、いずれは阿部殿の様な事になるのであろうか。

 

滅相もなか。

 

吉之助は声を荒げた。

斉彬は遠いものを見る視線になる。

 

わしが病に倒れ、我が子虎寿丸が死んだ時、お前はお由羅を亡き者にすると言った。だが、わしはお前を叱った。が、あの時、お前の言う通りにすれば良かったと今になっては思う。

 

ご命令あれば明日にでも江戸に発ちもす。

 

いや、仕方がない事だ。しかし、わしの子供は七人死んだ。お由羅の呪詛のゆえと言って、処罰しても良かったのにしなかった。しかし、耐えてきたものは黒い澱となって、わしの体を蝕んでいるようだ・・・

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

あの斉彬がこれほど気弱な事を口にしている・・・

やはり一橋慶喜が将軍に就くことが難しいからだ。

 

西郷、もし憎むべき相手がいたら、徹底して潰すのだ。そうしなければ新しいものは生まれないのだ。

 

わかりもした。

 

将軍が紀州に決まればすべては井伊殿が仕切る事になると。今までわしがやった事は全て水の泡になるのだ。わしは、もうじき三千の兵を率いて京に上るつもりだ。

 

吉之助は、驚きのあまり声が出ない。

それは戦国以来、天下の覇者になるという事を意味していた。

 

薩摩こそが異国を一番知り、この国をどうすればいいのか解っている。西郷、お前はすぐに江戸に発て。諸候と会い、わしの気持ちを伝えるのだ。お前はわしになるのだ。

 

七月二十七日、関東の形勢が逆転した事を知り、吉之助は再び京にいた。

そこでとんでもない事を聞かされた。

 

薩摩屋敷から来た者が、吉之助へ手紙を届けたのである。

そこには・・・・

 

去る七月十六日暁天  太守様、ご逝去。

 

吉之助はほとんど失神寸前だった。

それから八日経ち、吉之助が決心した事は、薩摩に帰って斉彬の墓前で死ぬ事であった。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

しかし、京で親しくなった成就院の住職である月照が、吉之助の気持ちを少しずつ変えていった。

 

西郷はん、あんた薩摩へ帰って死ぬおつもりでっしゃろ。

 

月照が吉之助に言った。

吉之助は何も答えない。

 

西郷はん、死んでどないするおつもりや。薩摩守様のご遺志は、どなたが継ぎはるんどすか。西郷はんは、もうただの薩摩のお侍やおへん。あんたが死ねば薩摩守様のお考えも死ぬのどっせ。

 

最後の言葉は強く吉之助の胸をうった。

いつしか涙がこみ上げてくる。

 

おいは・・・おいは・・・

 

泣きなはれ、もっと泣くんどすえ。

 

月照は、ピッタリと吉之助の頬に自分の頬を重ね、強い口調で言った。

 

西郷はん、私と寝はりませんか。

 

おいはそげな・・男となどしたことなか。

 

ほなら、今、寝まひょ。男の人が辛い時、どうしたら元気を出してもらえるか・・・私は色々あって寺に売られましてなぁ、一生懸命工夫した子供時代もありました。

 

そうして吉之助は、柔らかい月照の肌に包まれていく。

しかし、後悔や嫌悪もない。

 

月照は、自分に生きる力を与えるために、たまたま寝てくれたのだと思えば合点がいった。

 

それから月照は、亡き斉彬の代わりとして、国を背負う人となる事を吉之助に決心させた。

いつしか月照は、吉之助にとって無くてはならない人となった。

 

しかし朝廷からの密勅が幕府を飛び越えて水戸へ来た事に激怒した井伊が、反幕府勢力に対し、厳しい処罰をする様に命じた。

 

近衛家にゆかりのある月照にも詮議の手が伸びていた。

月照を薩摩に連れていこうとした吉之助だったが、それも密告にあい、薩摩が下した結論は日向へ『永送り』する事だった。

 

情けなか・・・薩摩は、こげん不人情になりもした。

 

そして吉之助は、月照と共に死ぬ覚悟をした。

斉彬の死から立ち直らせた月照は、吉之助にとって、もはやなくてはならない人となっていたのだ。

 

十一月十六日、役人たちと二人を乗せた船が出発した。

今だ! 吉之助と月照はしっかりと抱き合ったまま海に落ちた。

 

スポンサーリンク

 

【九】

 

流され、たどり着いたのは奄美大島だった。

吉之助は、その島で菊池源吾(きくち げんご)と名乗っていた。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

月照を死なせてしまい、自分だけが助かった事に苦しんだ。

毎日、島で刀を振りながら叫んでいる。

 

言葉も薩摩とは違うので、なかなかコミュニケーションも取れない。

菊池源吾は、どうやら藩に取っては重要な方の様だが、大声を出して暴れまわる、たちの悪いヤマトンチュだと島の人たちは思っていた。

 

その菊池源吾の世話をする事となったのが、愛加那(あいかな)だ。

愛加那は、菓子作りが得意だ。

 

愛加那も島の者たち同様、菊池の事を尊大で嫌な男だと思っていた。

 

しかし、菊池に同情している兄の富堅(とみけん)に『お前は菓子作りが得意だろう。菊池に菓子を持って行ってやったらどうだ。』と言われ、渋々出向いていた。

そして時折、薩摩より手紙が来ると暴れ狂う菊池をなだめたりした。

 

ある時、薩摩からの手紙を読み終わった菊池が愛加那に言った。

 

今、薩摩は揺れちょっ。おいの仲間たちは、井伊直弼大老にたやすく屈伏した、京都司代酒井若狭守(さかい わかさのかみ)許すまじとしちょったが、御舎弟(久光)の説得で中止したそうじゃ。

 

何を言ってるのか解りません。ですが、今日の手紙も菊池様を苦しくさせるという事だけは解ります。

 

お互いに良い印象を持たなかった二人だが、いつしか心を通わせ、結婚する事となった。

佐民、石千代加那夫妻の媒酌で、二人の婚儀は正式に行われた。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

その夜、愛加那が言った。

 

私の旦那様。あなたの本当の名前を教えてください。

 

おいの名前は西郷吉之助じゃ。

 

【十】

 

しかし、おはんは、まっこと美しかのう。亭主のおいでさえ見惚るっほどじゃ。おはんは、あのお方に似とっちょっ。

 

あのお方とは誰ですか。

 

篤姫さまじゃ。島津斉彬さまのご息女で、将軍の御台所になられたお方じゃ。

 

薩摩の姫君というだけでも、雲の上の人なのに、将軍の奥方となると見当もつかない。

だが、嫉妬の気持ちだけはわく。

 

そして、愛加那は『そのお方は、どうしているのか』と問いかけようとしてやめた。

最近、頻繁に薩摩からの手紙が届くようになったからだ。

 

この島の住民になると言ってはいるものの、手紙が届いた時の動揺は今も変わっていない。

愛加那は、気を取り直してにこやかに笑顔を見せた。

 

そうしてその手紙はやってきた。

いつもよりぶ厚い手紙を愛加那は、吉之助に渡した。

 

なんと・・・・ついにやった・・・

 

握りこぶしを震わせながら彼は立ち上がった。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

水戸藩士が井伊大老を殺った!こいでよか、井伊大老は勝手にめりけん(アメリカ)と条約を交わして国を売った。じゃっで、天罰が下っとじゃ。

 

妻が理解出来るとは思っていないが、吉之助は興奮のあまり言葉が次々と吐き出される。

 

もう少し早よ事が起これば、橋本殿も死なずに済んだじゃろう。あんお方は、まっこて立派な方じゃった。そして何よりも月照さま・・・

 

はらはらと涙を流す夫を愛加那は、あっけにとられて眺めている。

 

その手紙以来、何かが変わった。

愛加那と浜を歩きながら吉之助は言う。

 

いつも金がなく苦慮していた薩摩が急に潤ってきたとは、調所広郷(ずしょ ひろさと)殿のおかげじゃろう。しかし、こん奄美大島の砂糖きびに目をつけ、ここから莫大な利益が上がっとな。そんために島の者を苦しめちょったと。おいは、何も知らんかった。

 

私には解っておりました。旦那様が最初、この島の事を大層嫌われたのは、薩摩のやり方があまりにもひどいというお怒りからでありましょう。

 

そうじゃ。この黒糖地獄が集成館や、あの膨大な蘭学の本に変わっちょったかと思うと、おいはやりきれん気持ちになったとじゃ。

 

そんな吉之助は、奄美大島のこの村にすっかり馴染んでいた。

村の者は吉之助に心を許すようになっていた。

 

吉之助が奄美に来て、2度目の正月に愛加那が産気づいた。

そして、吉之助にそっくりの、大きな目をした男の子を産んだ。

 

初めて京を訪れた時、御所の門にあった菊の御紋を吉之助は忘れる事はなかった。

その子の名は菊次郎と名付けられた。

 

吉之助は、息子が生まれたのをきっかけに、手習いを教える子供達の数を増やし充実させた。

そして、大久保正助に手習いの本を送ってもらう様に頼んだ。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

先生、西郷先生!

 

名瀬から通ってくる子供が泣きながらやってきた。

 

お父さんが代官所の役人に連れて行かれた。

 

何でも、昨年の暮れの収獲が割当よりも少ない為、隠匿の疑いで引っ立てられていったというのだ。

代官所に行けば、百姓でもむごい拷問が待っている。

 

わかりもんした。何とかしもんそ。

 

代官所の相良は、いかにも融通のきかなそうな中年男である。

吉之助の言う事に首を縦には振らなかった。

 

そこで吉之助は、見聞役の木場を訪ねた。

木場は、吉之助の話を聞き、相良を説得してくれた。

 

今や国父となり、薩摩の実質的な権力者である久光の懐刀といわれるのが大久保正助改め、大久保一蔵だ。

一蔵は、久光から賜った名である。

 

その大久保から吉之助に、何通も手紙がもたされている。

恐らく、吉之助の帰藩もそう遠くないだろうと木場は察した。

 

そういった事もあり、木場は相良を説得する事ができた。

そして、百姓たちも解放された。

 

自分たちを助けてくれた吉之助に百姓たちは、大変感謝した。

そんな頃、愛加那に二人目の子供が出来た。

 

それを知った吉之助は、この地に家を建てる事を決心した。

しかし、愛加那の幸せは突然終わった。

 

吉之助に帰藩の命が下ったのだ。

吉之助は、一反の畑を買い、愛加那の名義とした。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

こん畑で、子供達を育ててくいやい。龍家の人達にも、おはんらの事をくれぐれも頼んでおいた。

 

しかし、必ずまた会おう、と言わないのが吉之助の誠実というものであった。

島妻は、連れ帰れない決まりであったし、ここに再び流される事は彼が望んでないからだ。

 

いつか菊次郎を薩摩に呼んでやってください。ここに置いては島役人がせいぜいです。

 

菊次郎の事は、そんつもりじゃ。

 

スポンサーリンク

 

【十一】

 

吉之助が奄美大島を出て六ヶ月後、愛加那は女の子を出産した。

愛加那は、きっと吉之助が名前をつける手紙をよこしてくれると思っていた。

 

しかし、手紙は一向にこない。

勘の良い愛加那は、兄の富堅が何か隠しているのではないかと詰め寄った。

 

すると、出産の1ヶ月前に吉之助から手紙が届いていたのである。

 

三年も、この島で暮らした西郷先生が、やっと薩摩に帰ったと思ったらどうやら島津久光公の勘気をこうむり、今度は徳之島に流されたのだ。

 

手紙には、愛加那には知らせないで欲しいと書かれていた。

菊次郎を大切に養育して、いつかきっと薩摩へ行かせてくれ、生まれてくる赤ん坊を元気に育ててくれと・・・

 

それを聞いた愛加那は、富堅が止めるのも聞かず、次の日には徳之島に行く為の板付船と船頭を調達し、二人の子供と身の周りのものだけを持ち、旅立った。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

そして、徳之島で吉之助と再会した。

愛加那は子供達と共に、吉之助の胸に飛び込み、涙を流した。

 

吉之助は、ここ徳之島でも奄美大島にいた時の様に子供たちに読み書きを教えたりしていた。

 

愛加那は吉之助に、何故徳之島に流される事になったのか聞いた。

吉之助も、こんな遠い島まで子供達を連れて来た愛加那に全てを話した。

 

三年ぶりに薩摩に戻った吉之助は驚いた。

井伊大老が首を取られた事で、幕府など何するものぞ!といきりたつ者が増えた。

 

それを何とかしなければと、老中安藤対馬守(あんどう つしまのかみ)が、天皇の妹御と将軍とのご婚儀を図った。

それに対して、反発した水戸の浪士達が、今度は安藤老中を襲った。

 

誰もが殺し合いをしようとする世の中に変わっていた。

金剛院(斉興)は、69歳で亡くなった。

 

そして、順性院(斉彬)の養子である茂久(忠義)が太守になっていた。

しかしまだ若い為、実質は父親の和泉(久光)が全てを取り仕切っていた。

 

吉之助は、順性院の遺志を継いで幕府を改革するという和泉に賛同出来なかった。

順性院の遺志・・・と軽々しく口にする事にも、吉之助は腹が立っていた。

 

そして吉之助は和泉に会った時、順性院(斉彬)が京でどれだけ慕われていたか、どれだけ有能だったかを話した。

 

お前は、わしが京に行っても何の役にも立たんと言うっとか。

 

失礼ながら、今おっしゃったお言葉も京の人には通じもはん。おいもそうでございもした。

 

そいではお前は、わしを田舎者と言うっとか。

 

江戸や京の人達に、“地ゴロ”と言われても仕方ありもはん。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

和泉は怒り、吉之助に切腹を命じた。

それを必死に止めたのが、大久保一蔵をはじめとする、精忠組の者達だった。

 

そんな大久保一蔵だったが、吉之助は理解に苦しんだ。

それは大久保一蔵が、和泉の右腕となっていたからだった。

 

吉之助がいなくなった三年間、過去の活躍から更に尾ひれがついた様に語り継がれ、吉之助は薩摩の英雄となっていた。

そんな事もあり、和泉も渋々許す事となった。

 

しかしそれから和泉が京にのぼるという噂がたった。

それを聞きつけた肥後や豊後、更に長州の浪士まで駆けつけた。

 

吉之助は、和泉自身に倒幕の意志がある様に思えなかった。

下関で千人の兵と共に、和泉の到着を待つ様に言われた吉之助だったが、このままでは犬死になるかもしれないと若い者達にこんこんと説いたのである。

 

それが、和泉の怒りを招いた。

自分の命じた通り、下関で待たず、勝手に伏見へ行き、若い者たちをたぶらかしたとされた。

 

そうして、徳之島へ流されたという訳だ。

話を聞いてため息をもらした愛加那だったが、この地で再び吉之助と再会した事は嬉しかった。

 

だが、楽しかったのはたった5日だけとなった。

島役人から一通の書状が届いた。

 

西郷先生、今度は沖永良部島でございます。

 

沖永良部島は、流罪の中でも鬼(喜)界島に次ぐ、厳しい処罰だ。

妻子を連れて行くなど、許される事ではなかった。

 

沖永良部島では、真の罪人となった。

吉之助は、舟牢から役所の敷地内に作られた牢の中に入れられた。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

牢は、たった二坪ほどで壁も無い。

吹きさらしで、灼けつく南国の日差しが入ってくる。

 

一緒に罪を負った村田新八は鬼界島にながされたが、森山新蔵は船の中で自害した。

それだけではない。

 

久光は、有馬新七ら精忠組の過激派を襲わせた。

同じ薩摩士の手によって六人が死に、三人が腹を切った。

 

捕らわれた中には、吉之助の弟の信吾(竜助)や、いとこの大山弥助(巌)らが入っていた。

 

吉之助は、久光の冷酷さに強い不信と憤りがわく。

同じ藩の者同士に殺し合いをさせるというのは、一体どの様な考えであろう。

 

自分の思い通りにならない者に対して、とことん憎しみを抱く性向は、いずれ自分に向けられるであろう。

 

【十二】

 

ひどい嵐のせいで、簡素な牢は壊れた。

そうして吉之助は、島役人の土持政照(つちもち まさてる)の家にある座敷牢に囲われる事になった。

 

痩せ細っていた吉之助は、土持と土持の母の鶴に看病され回復した。

そうして、島の子供達に慕われるようになっていった。

 

1年半、沖永良部島で暮らした吉之助だったが、やっと薩摩に戻れる事となった。

そして、大久保に促され、久光に挨拶に行く。

 

吉之助さあも変わってくれて、おいはどいだけ安心したかわからん。手をついて国父様に帰藩の挨拶をしてくれた時は、目頭が熱くなった。国父様も変わられたとじゃろう。今や世の中を動かる大物となられた。

 

そう言う大久保を吉之助は黙って見ていた。

吉之助は、帰ってきた途端、軍賦役(ぐんぷやく)、さらに小納戸頭取(こなんどとうどり)になった。

 

破格の昇進である。

大久保が運動してくれた事かと思うが、よくわからない。

 

それから京都三条木屋町の旅館池田屋にて、近藤勇、沖田総司らが、長州派の志士と斬り合いになった。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

当然、一橋慶喜、松平容保を殺害するつもりであった。

これにより、九名が死亡、四名が捕らえられた。

 

それから二十日も経たないうちに、長州藩の久坂玄瑞(くさか げんずい)は藩主父子の冤罪を訴え、長州の罪をゆるして欲しいという嘆願書を朝廷に提出したが、無視された。

 

やがて長州は京の郊外、山崎と嵯峨、伏見に兵を進めてきた。

吉之助は、今や軍の責任者。

 

長州の中心にいるのは、藤田小四郎といい、あの藤田東湖の息子である。

もし、長州を討つべしとお達しが来たら、吉之助が若い頃、尊敬していた藤田東湖の息子に刃を向ける事になる。

 

【十三】

 

吉之助は、公家町へ向かう乾御門に立っている。

いよいよ長州との戦いが始まるのだ。

 

しかし、吉之助は気が重い。

いくら長州が兵を挙げたといっても、目的は討幕ではなく、政変によって朝敵とされた藩主・毛利慶親(敬親)・定広(元徳)父子の汚名をそそぐためだ。

 

この心根は解るだけに、吉之助の中に逡巡する気持ちが日に日に強くなっていく。

それに、戦などは出来る限り避けたいというのが吉之助の本音だ。

 

しかし、戦は始まった。

来島又兵衛を先頭とする長州藩の勢いは凄まじかった。

 

吉之助は初めて戦を目の前で見て、正直、驚くと共に終わらせなければならないとも思った。

そして、来島又兵衛を狙え!と叫んだ。

 

来島又兵衛めがけ鉄砲が放たれ、そして馬から落ちた。

吉之助の思った通り、それをきっかけに、長州兵はいつしか退却を始めていた。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

戦が終わった。

 

しかし、公家の邸宅に火の手があがっていた。

火は三日間に渡って燃え続けたのだ。

 

火をつけたのは久坂玄瑞だと、吉之助は聞かされていたが、どうやら一橋慶喜が桑名か会津の兵に火をつけろと命じたのだ。

 

吉之助は、歯ぎしりしたくなってくる。

慶喜といえば、亡き島津斉彬が時期将軍にと奔走した人物なのだ。

 

しかし、近頃はあまり良くない評判が伝わってくる。

言う事がくるくる変わるというので、『二心殿』というあだ名がつけられているほどだ。

 

何はともあれ、吉之助の“初陣”は大成功を収めた事になる。

島津久光と藩主・忠義(茂久)から、褒状と陣羽織、刀を拝領した。

 

長州征伐に幕府は、なかなか腰をあげない。

そんな中、総督に関しても、なかなか良い案が浮かばない。

 

そういった事もあり、吉之助は勝海舟(かつかいしゅう)を訪ねて、知恵を貸してもらう事となった。

吉之助も名前を知っている勝海舟は、おそらく日本で中浜万次郎以外で、一番海と世界を知っているであろう男だ。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

あの坂本龍馬も、勝海舟を斬ろうと訪ねたが、話を聞いたらすっかり心酔し、今では神戸の海軍塾に通うほどだ。

 

そして、吉之助は勝海舟に会った。

そこで、勝から亡き斉彬が自分の事を話していたという事を聞かされた。

 

あたしは咸臨丸で長崎から航海練習の途中に、薩摩の集成館へ寄った時、島津公が  “あの者をこれに乗せたらどれだけ喜ぶ事か”といいなすってね。

 

おいの事でごわすか

 

ええ。わが藩には西郷という者がいます。将来は藩どころか、中央を背負う者になるはずですから、どうか名を憶えて欲しいとね。

 

吉之助は、人前でなかったら泣くところだった。

そして勝は、幕府を見限った方が良い。という事も吉之助に助言した。

 

その代わり、今この国で頭の良いお殿さんを四五人集めてご会盟を作るんです。これは西洋ならどこもやっている事です。

 

そいは、わが亡き殿がおつくりになろうとした“雄藩連合”でごわすか。

 

斉彬が亡くなった事で宙ぶらりんになった話だ。

勝も斉彬と同じ考えで、アメリカやイギリスに対向出来る基盤を作る事が大切だと思っている。

 

それに勝は、長州の事についてもあれだけ向こう見ずで大きな藩はいない。ぜひ、長州も入れるべきだとも言った。

 

そうして吉之助は、勝海舟という人物にすっかり酔いしれた。

そして、勝が言った長州の事も頭から離れずにいた。

 

スポンサーリンク

 

【十四】

 

吉之助は、斉彬の言葉を思い出していた。

 

一刻も早く、この国が力をつけなければ大変な事になる。しかし、恐ろしい程何も解っていらっしゃらない方ばかりだ。だから、解る方々だけでこの国を動かしていくのだ。

 

この、斉彬と同じ考えを持つ勝海舟にすっかり心を奪われた吉之助だった。

そんな吉之助にとって、五代才助(友厚)との再会はなんとも愉快であった。

 

五代と初めて会ったのは、薩摩の仙巌園、斉彬の居間だ。

琉球交易の担当をしていた父を持つ五代に、斉彬は様々な未来を託していたに違いない。

 

その五代から、どの国でも戦争などで木綿を作れず、欲しがっている。と聞いた。

そして、アメリカでの南北戦争についても話した。

 

長州を攻める日が近づいている。

今度こそ幕府は長州の息の根を止めるつもりなのだ。

 

しかし吉之助は気が進まない。

勝の言葉を全て受け入れた訳ではないが、長州征伐が薩摩にとって得策だと思えなくなってきた。

 

越前や肥後といった藩が、どうして長州と戦わないのかという強い不満を持っており、吉之助は、ひとつひとつ説明していった。

 

薩摩に西郷吉之助あり

 

という声は、もはや全国に響き渡っていた。

 

今、長州を攻めたところで、利になる事は何ひとつあいもはん。とどめを刺さぬのは、勝者のならいでございもんそ。

 

多くの者たちは、吉之助の体格と迫力に圧倒され、次第に反論の声が小さくなっていくのである。

最終的には征長総督徳川慶勝は、解軍を告げる事になった。

 

吉之助にとっては、久しぶりの薩摩であった。

騒動がようやく落ち着いたのは、正月を過ぎてからだった。

 

薩摩で大久保が吉之助に縁談を持ってきた。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

わが藩の看板男が40近くにもなろうとしちょっとに、妻帯しないとはどげんこっか。

 

大久保は相手について話し出した。

なかなかの器量よしで、家老座書役・岩山八郎太の次女で今年二十三歳になる。

 

名は、糸という。

そして、大久保はちょっと言いづらそうに言った。

 

一度嫁女になったことがあっという事でございもす。

 

一瞬、吉之助は前妻の須賀を思い出した。

吉之助は、心に鬱屈を持つ女は苦手で、無邪気で明るい女が好きだった。

 

どんな女か解らないが、奄美大島の菊次郎は、いずれ引き取るつもりだが、鹿児島で養育する母も必要になるだろう。

 

それに、正式な跡継ぎもまだ自分は、作っていないのだと思った。

そうして、あっという間に糸との婚姻は進んだ。

 

夜、花嫁と二人になり初めて言葉を交わした。

 

【西郷どん】あらすじ(ネタバレ)!【中】(原作本より)

 

おはんも知ってここに来たと思うが、おいは、奄美大島で妻を持った。子供が二人おっ。妻は島から出る事が出来ぬ決まりじゃが、いずれ子供は呼び寄せるつもりじゃ。どうか、面倒を見てやってくいやい。

 

はい、わかりもした。

 

そして、吉之助は八日後には福岡へと発った。

同じ頃、吉之助は天狗党の残党三百五十二人が斬首されたことを知った。

 

その首領格の藤田小四郎は、若き日の吉之助が心酔した藤田東湖の息子だ。

彼らは、武士の扱いをまるで受けないまま、家畜の様に鰊倉に入れられ、その後、次々と首を斬られた。

 

それを指図したのが、慶喜と聞いて吉之助は憤怒の声を漏らした。

心の無いお方だ、何を考えているかまるで解らないと、吉之助は思った。

 

福岡を発ち、京へ到着すると小松帯刀(こまつ たてわき)のところへ挨拶に言った。

すると小松の居間に見知らぬ男を見た。

 

その痩せた背の高い男が言った。

 

やぁ、西郷さ、やっと会えたぜよ。よう勝先生から話を聞いちょりました。わしゃ坂本龍馬いうて、見た通りの土佐の田舎者やき。

 

この男が坂本龍馬か。と吉之助はまじまじと見つめた。

土佐を脱藩した男であるが、長崎や江戸、京をとびまわり、今は武器の調達の仕事をしている。

 

軍艦を購入する件でやってきたのだと小松は説明した。

彼は最近、龍馬にとても目をかけているのだ。

 

その龍馬を見つめ、この男は信用出来るのか?と吉之助は目をこらしたのだった。

 

西郷どん】原作本最終回までのあらすじ(ネタバレ)【下】 に続く

大河ドラマ【西郷どん】キャスト表

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク